弁護士法人心 本部に所属しております,弁護士の内堀と申します。
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高度障害保険金と非課税所得
今年の確定申告では、たまたまですが、名古屋にお住いの方から高度障害保険金の税金関係について質問を受けることが多かったです。
まず、高度障害保険金とは、被保険者が病気や怪我により保険の契約上の定められたかなり障害が重い状態(例えば、両眼の視力を全く永久に失ったり、言語またはそしゃくの機能を全く永久に失った場合など)になると、死亡保険金と同額を受け取ることのできる保険金をいいます。
つまり、死亡保険金と同様に多額の保険金が入ってきますので、保険料よりも高い保険金であれば所得税が発生するのか、心配になります。
まず、出発点となるのが、所得税法施行令第30条第1号です。
この規定の関係する箇所を簡単に抜粋すると、「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」は非課税の所得となります。
そうすると次に考える必要のあるのは、高度障害保険金が「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に当たるかどうかが重要となります。
この点についても、所得税基本通達9-21に規定があり、高度障害保険金は、所得税法施行令第30条第1号に規定する「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するものとして取り扱えることになっています。
このような根拠のもと、高度障害保険金は非課税の所得となります。
(非課税とされる保険金、損害賠償金等)
第三十条 法第九条第一項第十八号(非課税所得)に規定する政令で定める保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)は、次に掲げるものその他これらに類するもの(これらのものの額のうちに同号の損害を受けた者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補塡するための金額が含まれている場合には、当該金額を控除した金額に相当する部分)とする。
一 損害保険契約(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社若しくは同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約又は同条第十八項に規定する少額短期保険業者(以下この号において「少額短期保険業者」という。)の締結したこれに類する保険契約をいう。以下この条において同じ。)に基づく保険金、生命保険契約(同法第二条第三項に規定する生命保険会社若しくは同条第八項に規定する外国生命保険会社等の締結した保険契約又は少額短期保険業者の締結したこれに類する保険契約をいう。以下この号において同じ。)又は旧簡易生命保険契約(郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)第二条(法律の廃止)の規定による廃止前の簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)第三条(政府保証)に規定する簡易生命保険契約をいう。)に基づく給付金及び損害保険契約又は生命保険契約に類する共済に係る契約に基づく共済金で、身体の傷害に基因して支払を受けるもの並びに心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金(その損害に基因して勤務又は業務に従事することができなかつたことによる給与又は収益の補償として受けるものを含む。)
(高度障害保険金等)
9-21 疾病により重度障害の状態になったことなどにより、生命保険契約又は損害保険契約に基づき支払を受けるいわゆる高度障害保険金、高度障害給付金、入院費給付金等(一時金として受け取るもののほか、年金として受け取るものを含む。)は、令第30条第1号に掲げる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するものとする。