本日は,税務調査の手続きに関するお話をしようと思います。
税務調査があると,我々税理士が,税務調査の対象となっている依頼者(納税義務者)に,「調査の終了の際の手続に関する同意書」という書面に,印鑑を押していただくようお願いすることがあります。
なぜ,このような書類が必要になるかというと,国税通則法に以下のような定めがあるからです。
(調査の終了の際の手続)
第74条の11
1項 税務署長等は、国税に関する実地の調査を行つた結果、更正決定等(第三十六条第一項(納税の告知)に規定する納税の告知(同項第二号に係るものに限る。)を含む。以下この条において同じ。)をすべきと認められない場合には、納税義務者であつて当該調査において質問検査等の相手方となつた者に対し、その時点において更正決定等をすべきと認められない旨を書面により通知するものとする。
2項 国税に関する調査の結果、更正決定等をすべきと認める場合には、当該職員は、当該納税義務者に対し、その調査結果の内容(更正決定等をすべきと認めた額及びその理由を含む。)を説明するものとする。
3項 前項の規定による説明をする場合において、当該職員は、当該納税義務者に対し修正申告又は期限後申告を勧奨することができる。この場合において、当該調査の結果に関し当該納税義務者が納税申告書を提出した場合には不服申立てをすることはできないが更正の請求をすることはできる旨を説明するとともに、その旨を記載した書面を交付しなければならない。
5項 実地の調査により質問検査等を行つた納税義務者について第七十四条の九第三項第二号に規定する税務代理人がある場合において、当該納税義務者の同意がある場合には、当該納税義務者への第一項から第三項までに規定する通知等に代えて、当該税務代理人への通知等を行うことができる。
長くて分かりづらいですが,簡単に言うと,税務署は,税務調査の終了の際して,原則として,調査結果を納税義務者に説明する必要があるということです。
ただし,「納税義務者の同意」があれば,税務署は,税務代理人たる税理士に説明等をすれば足ります。
逆にいうと,納税義務者の同意がなければ,税務代理人であっても,納税義務者の代わりに税務署からの説明等を受けることができないということです。
それくらい,税務調査の終了の際の納税義務者に対する説明について,国税通則法は重要視しているということです。
なお,この「同意」は,条文上,書面であることを要件としておりませんので,厳密には,口頭でも同意があれば足ります。
そのため,地域,調査官によって,書面を求められたり,そうではなかったりします。
税務調査でお困りの際には,税理士法人心・弁護士法人心にご相談ください。