最近、名古屋の方で、公正証書遺言の作成をお手伝いする際に、公証人にいろいろとご質問させていただく機会がありました。
一般的に、遺言者が気になるのは、遺言がどのように保管されるのか、いつまで保管されるのか、つまり、自分が死んだ時に遺言書の内容が実現されるのかということです。
公正証書遺言の作成の際には、正本と謄本を受け取りますが、そのどちらも紛失した場合です。
まず、公正証書遺言の保管期間は、具体的には法律上定められていません。
公正証書の保存期間は、公証人法施行規則27条で、原則として、20年と定められていますが、特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある間は保存しなければならないと定めています。
そして、 遺言公正証書は、上記規則の「特別の事由」に該当すると解釈されています。
公正証書遺言作成後140年間保存する取扱いとされていることを確認しました。
ただし、これまで、公正証書遺言を破棄したことはないとのことでした。
また、公正証書遺言は、実際に公証役場にある倉庫に保管されており、貸倉庫等は利用していないようです。(私が確認した公証役場がそうであるだけで、都内の公証役場であればスペースの関係でどうしているのだろうという疑問はあります。)
なお、万が一正本、謄本を紛失した場合、公証役場で再発行してもらう必要があります。
現在は電子化されているので、遺言者の名前で検索をかければ、すぐに再発行してもらえます。
ただし、電子化前の公正証書遺言は、人力で倉庫から探すため、作成日がわからない場合は、事実上見つけることができない可能性があります。
電子化前の古い公正証書遺言は、紛失した場合に備えて、少なくとも、作成日がいつ頃かわかるようにしておく必要があります。