空き家特例と床面積

最近、名古屋の相続した実家を売却した方から、空き家特例の適用範囲について、相談を受けました。

 実家の敷地(1筆の土地)に、本宅と離れがある場合、本宅に対応する敷地部分にしか空き家特例の適用ができません。

 国税庁HPでは、床面積に応じて(按分して)特例の適用できる範囲を計算するのだと記載がありました。

 ただ、本宅及び離れが平屋ではない場合、総床面積で按分するのか、建築面積(通常1階部分の床面積)で按分するのか、どちらが正しいのでしょうか。

 その点について、国税庁のHPには記載がありませんでした。

 ある大手税理士事務所のネット記事では、総床面積で按分するのが正しいと明記されていましたが、根拠が記載されていませんでした。

 もう少し調べてみると、令和2年6月19日裁決(https://www.kfs.go.jp/service/JP/119/03/index.html)という裁決例がありました。

 この裁決例では、空き家特例そのものに関する裁決ではなく、居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例の適用に関する裁決で、建築面積で特例の適用の対象面積を決めるべきであるとの判断がされました。

 しかし、複数の建物が同じ敷地にあり特例の適用の対象となる部分を限定しようとしている点、厳密には空き家と居住用財産では意味が異なるものの人の居住用部分を限定しようとしている点では空き家特例と居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例は類似していています。

 そうすると、更に調べることで異なる見解、根拠が出てくる可能性もありますが、空き家特例においても、総床面積ではなく、建築面積で敷地を按分して、特例適用面積を計算するほうが正しいように思われます。

譲渡所得と固定資産税精算金の関係

確定申告の時期になってきたので、名古屋の土地を売却した方から、譲渡所得について、税金の計算について相談を受けることがありました。

譲渡所得の計算のためには、譲渡の際の収入と費用を確認する必要があります。(また、購入価格等の取得費の確認もする必要があります。)

譲渡の際の収入は、単純に売買価格であると考えてしまうかたも多いと思います。

ただ、実は、売買の際に売主が受け取る固定資産税の精算金も譲渡の際の収入となります。

固定資産税の精算金とは、毎年1月1日時点の所有者に1年分の固定資産税の支払い義務があることから、年の途中に所有者が変わるので、固定資産税を買主に負担すべきとして精算金が支払われるお金です。

実質的に、買主の固定資産税を負担してもらうべき金額であり、収入には入らないと思うかもしれません。

しかし、税務署としては、やはり、不動産の1年分の固定資産税の納付義務は売主にあるということは変わらず、買主が固定資産税を負担することなくその不動産を所有する期間があるという状況を調整するために個別具体的に調整が行われるにすぎず、支払を受けた未経過固定資産税に相当する額は、実質的には不動産の譲渡対価の一部と考えるのが妥当だと考えます。

このことは、国税庁のサイトの質疑応答事例集「未経過固定資産税等に相当する額の支払を受けた場合」にも記載されているので、気になった方は調べてみることをおすすめします、

過払い金と確定申告

名古屋の内堀です。

今年も確定申告の時期がやってまいりました。申告期限最終日に焦らないようにしていきましょう。

 

少し話は変わりますが,私が所属する名古屋の事務所では,過払いの請求について弁護士に相談に来られる方が多く,また,実際に過払い金を取り戻すことができた方がたくさんいます。

 

ただ,過払い金というお金を取得することで,確定申告が必要になってくるのではないかとご不安に思われる方もいらっしゃるので,本日は,過払い金と確定申告をテーマに記事を書いていきたいと思います。

 

そもそも,過払い金を請求し,過払い金を取り戻せたお金の中には,払いすぎた利息以外のものが含まれることがあります。

それは,過払い金利息です。

過払い金利息は,過払い金元本(これが払いすぎた利息そのものです。)が発生してから返還されるまで,年間5%の割合で,発生していきます。

 

過払い金元本に関しては,もともと払う必要のなかったお金が返還されただけなので,所得があったとはいえず,課税関係は生じません。

つまり,確定申告は不要です。

 

しかし,過払い金利息に関しては,その支払いを受けた日の属する年に雑所得があったことになります。

給与所得者の場合,年末調整によって,所得税額が確定し,基本的には,確定申告は不要となることは,皆さんご存知だと思います。

しかし,今回のように,雑所得の額によっては確定申告が必要(所得税法121条参照)となってきます。(雑所得の額以外にも確定申告が必要となる場合がありますがここでは割愛します。)

具体的には,過払い金利息が20万円を超える場合には,確定申告が必要となります。

 

過払い金利息だけで20万円を超える場合というのは,過払い金元本が多額であったり,過払い金元本の発生から返還までが長期間である場合に限られますが,注意が必要です。

 

なお,過払い金の発生の原因である借り入れが事業のために行われたもので,借入返済の際に支払った利息を経費としていた場合は,この記事の内容とは違った取扱になりますので,詳しくは専門家にご相談ください。

名古屋で税理士をお探しの方はこちら

確定申告と医療費控除 3

弁護士の内堀です。

確定申告の期限も迫ってきました。

名古屋中村区の方であれば,ウインク愛知が確定申告会場となっています。

 

今回も医療費控除の話題の続きです。

医療費控除は単純に見えて意外に落とし穴が多く,医療費控除の対象になると思われているものが,対象でなかったり,医療費控除の対象にならないと思い込んでいたものが対象であったりします。

 

大雑把にいえば,治療目的で支出したものかどうかが,判断基準となります。

そのため,予防目的,健康維持促進目的の場合に支出したものは,医療費控除の対象になりません。

 

例えば,予防接種の料金を医療費控除の対象だと考えておられる方が多いですが,予防接種は基本的に予防目的であるため,医療費控除の対象にならないと考えておいた方が無難です。

 

また,病院までの交通費は医療費控除の対象にならないと思われている方が多いですが,実は医療費控除の対象となります。

ただし,基本的に公共交通機関を利用した場合の交通費が対象になり,特別な事情がなければタクシー代は医療費控除の対象ではありませんし,自家用車のガソリン代,駐車料金も同様です。

なお,公共交通機関を利用した場合は,しっかりと領収書等の証拠を残しておきましょう。