相続時精算課税制度の注意点

60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子供に贈与する場合、相続時精算課税制度を選択することで、それ以降の贈与について2500万円まで贈与税がかかりません。

 

不動産を購入する際に、不動産会社からこの制度があることを聞いて、2500万円の贈与を親から受けるということをよく聞きますが、注意しなければならないことが多い制度ではあります。

 

まず、贈与税と相続税は密接に関係している税金です。

生前に親から子に資産を移動する場合は、贈与税がかかる可能性があり、親が亡くなった際に子に資産を移動する場合は、相続税がかかる可能性があります。

どちらも、親から子に資産が移動する際にかかってくる税金という意味では、似ている税金といえます。

実際、贈与税法という法律はなく、相続税法の中に贈与に関する規定が含まれています。

 

相続税との関係で、相続時精算課税制度を利用した贈与の意味がないといわれるのは、相続時精算課税制度を利用した贈与によって移動した資産は、相続税の計算の際には全て加算されるからです。

 

このように贈与は、相続税対策の一環として行われることが多いにも関わらず、相続時精算課税制度を利用した贈与は相続税対策として全く意味がないものとなります。

 

また、相続時精算課税制度を一度選択すると、一生涯その効力が続き途中で選択をやめるということはできません。

さらに、相続時精算課税制度を選択した後の贈与について、期限内に申告しなければ、2500万円まで贈与税がかからないという特別控除すら使えず、110万円の基礎控除額も使えず、一律に贈与額の20%の贈与税がかかります。

一度、相続時精算課税制度を選択すれば、無条件で(申告しなくとも)2500万円まで贈与税がかからないと勘違いされているかたもいるので、注意が必要です。

 

こういったことは、相続時精算課税制度があることを教えてくれた不動産会社がフォローすることはほとんどありません。

なお、相続時精算課税制度は、デメリットばかりではなく、親と子の財産状況によっては、非常に有用な制度となることもあります。

資産を動かす際には、税理士や弁護士といった専門家に相談し、自分や親の財産状況にあった方法なのかを確認し、多少費用がかかったとしても専門家に依頼することをおすすめします。

最適な暦年贈与の額とは

名古屋にお住まいの方から、毎年いくら暦年贈与をしていくのがいいのかという質問を受けました。

 

毎年110万円の贈与であれば、贈与税がかからないので、110万円が相続税を減らすためにベストな贈与額であると信じている方もいらっしゃいますが、全員がそうとは言い切れません。

 

例えば、生前対策を考えている人に配偶者はおらず、法定相続人である子供が二人いると想定します。また、孫も2人いるとします。

 

次に、現在の財産を1億円とし、今から孫二人に贈与をすることで、5年後の財産及びその財産を課税財産とした時に相続税と贈与税の計算がどう変化するかを検討していきます。

 

パターン1 孫二人に100万円ずつ毎年合計200万円を贈与する場合

年110万以内の贈与には贈与税がかからないので、5年間の贈与税の合計は0円です。

また、5年間で1000万円財産が減少しますから、5年後の財産は、9000万円で、相続税は620万円となります。

よって、相続税と贈与税の合計は、620万円となります。

 

パターン2 孫二人に500万円ずつ毎年合計1000万円を贈与する場合

年500万円にかかる贈与税は、48.5万円です。

そのため、贈与税の5年間の合計額は、48.5万円×2×5=485万円

また、5年間で5000万円財産が減少しますから、5年後の財産は、5000万円で、相続税は80万円となります。

よって、相続税と贈与税の合計は、565万円となります。

 

パターン3 孫二人に300万円ずつ毎年合計600万円を贈与する場合

年300万円にかかる贈与税は、19万円です。

そのため、贈与税の5年間の合計額は、19万円×2×5=190万円

また、5年間で3000万円財産が減少しますから、5年後の財産は、7000万円で、相続税は320万円となります。

よって、相続税と贈与税の合計は、510万円となります。

 

相続税と贈与税は税率が異なるため、このように、毎年いくら贈与するかによって、相続税と贈与税の合計額が変わってきます。

上記の例であれば、贈与税はかかってしまうものの毎年300万円程度贈与すれば、効果的な暦年贈与といえます。

 

相続人の人数、相続財産、生前対策を考えている人の年齢によって、いくら贈与すべきかは変わってきますので、一度専門家に相談することをおすすめします。

未分割申告の場合の注意点

1 相続税の申告期限

相続税の申告は,被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。

例えば,令和2年10月7日に亡くなった場合,10か月後の令和3年8月7日が申告期限となります。

なお,申告期限が,土日祝日の場合は,これらの日の翌日が申告期限となります。

被相続人が,名古屋市中村区にお住まいの方は,名古屋中村税務署に申告をする必要があります。

また,相続税の納付も申告期限までに行う必要がありますので,納税準備も必要となります。

2 遺産分割が10か月以内にまとまらない場合のどんなデメリットがあるか

一番大きなデメリットを一言でいうと,納税資金の用意が通常の場合よりも大変になることが多いということです。

遺産分割が10か月以内にまとまらないときでも,相続税の申告期限が延長されることはありません。

遺産分割協議がまとまらない場合は,法定相続分で申告を行い,分割がまとまった後に,再度その分割に従って,申告を行う必要があります。

税額の軽減の特例は,基本的に,実際に財産を取得したことが決まり,その相続人が支払う相続税について,相続人がどういった関係にある者であるか,そういった財産を受け取ったかという点に着目して,適用の可否が決まります。

例えば,配偶者の税額軽減の特例については,本来,配偶者が受け取る財産に相続税がかかってくるはずのところ,配偶者は被相続人の財産で生活していた場合が多く,配偶者の今後の生活が相続財産で保障されるべきであるという考え方のもと,大きな税額軽減があります。

しかし,配偶者が受け取る財産が確定していない状況では,配偶者が具体的にどれだけの相続税が発生するかが確定していないため,配偶者の税額軽減の特例の適用を受けることができないのです。

また,小規模宅地等の特例の適用を受ける事のできる可能性のある土地について,取得する相続人の性質(被相続人と同居していたか等)によって,適用の可否が決まります。

そのため,土地について,誰が取得するか確定しない状態では,そもそも小規模宅地等の特例の適用を受けることができないのです。

3 注意点

未分割で特例の適用を受けずに申告した場合,後に特例の適用を考えている相続人は,「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書と一緒に提出する必要があります。

この書類を提出しなければ,遺産分割協議が終了したあと,税額軽減の特例の適用を受けたことを前提に相続税の申告書を作成し直し,税務署に納めすぎた相続税の還付を求めることができなくなりますので,注意が必要です。

さらに,申告期限後3年以内に遺産分割がまとまらなかった場合には,「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出する必要があります。

基礎控除額と法定相続人

名古屋の暑さがどんどん増していきます。秋が待ち遠しいです。

 

本日は,基礎控除額について,間違いやすい点について,まとめていこうと思います。

 

相続税の基礎控除額は,3000万円+600万円×法定相続人の数,で計算することができます。

しかし,相続税法上の法定相続人の数と民法上の相続人の数は異なるため,しばしば間違う人がいます。

基礎控除額以下であれば,そもそも相続税の申告の義務はありません。

そのため,相続税の計算において,最も基本的な基準であり,注意深く考える必要があります。

 

 

2 本来,相続人であるはずの者が既に亡くなっている場合

例えば,被相続人に子供が1人いたにも関わらず,被相続人の相続開始時点において,その子供が亡くなっており,被相続人からみて孫が3人いたとします。

この場合,法定相続人の数は,3人ということになりますので,基礎控除額は,3000万円+600万円×3=4800万円ということになります。

 

3 養子が何人もいる場合

養子も一親等の血族であり,民法上の相続人にあたります。例え,養子が何人いても,全員が民法上の相続人です。

しかし,民法上の相続人の数をそのまま基礎控除額の計算の基礎とすると,容易に相続税の課税の潜脱ができてしまいます。

そのため,相続税法では,基礎控除額の計算とできる養子の数の制限を設けています。

具体的には,実子がいる場合には養子の数は1人まで,実子がいない場合には養子の数は2人まで,基礎控除額の計算の基礎とすることができます。

 

4 相続放棄した相続人がいる場合の基礎控除額

相続放棄した相続人がいる場合は,その相続放棄がなかったものとして,基礎控除額の計算をすることになります。

例えば,被相続人の相続人が子供が1人のみ,また被相続人の兄弟が5人いるとします。

相続放棄前であれば,相続人が被相続人の子供1人であるところ,その子供が相続放棄をすれば,相続人は被相続人の兄弟5人となります。

仮に,このような場合に,基礎控除額が,3600万円(3000万円+600万円)から6000万円(3000万円+600万円×5)に増えてしまえば,容易に相続税が変わってしまうことから,相続税の計算においては,相続放棄はなかったものとして計算するという規定が相続税法にはあるのです。

 

このように,民法上の相続人の人数が,相続税の基礎控除額の計算の基礎とならない場合もあることに注意が必要です。

相続税と固定資産税

1 固定資産税と債務控除

固定資産税は,毎年,1月1日時点での土地や建物の所有者に賦課される税金です。名古屋市に土地を持っていれば,市税事務所から通知書がきます。

年の途中で亡くなり未納付分を相続人が払うことになったとしても,本来固定資産税を払うべき人が被相続人であることは変わらず,相続開始日時点で存在する債務で確実と認められるものにあたり,債務控除することができます。

2 相続開始日と債務控除できる固定資産税の範囲

固定資産税は,通常4月、7月、12月、翌年2月の年4回に分けて,納期が定められています。

そのため,1月の途中に亡くなった場合は,納税通知はその年の4月に来るので,固定資産税の税額はわかりません。

もっとも,1月1日時点で被相続人に固定資産税が賦課されることは決まっており,その年の4回分の固定資産税が未納付ということになります。

加えて,前年の最後の1回(納期が2月の固定資産税)も未納付であれば,債務控除できることになります。

3 共有不動産と債務控除できる固定資産税

共有不動産の場合,固定資産税の通知は代表者に送られてきます。

共有者が親子の場合は,親が子供の持分まで支払ってしまうことも多く,固定資産税を一体誰が負担すべきかということを深く考えないこともあるようです。

しかし,相続税の計算においては,持ち分に応じて,固定資産税も負担する義務があるということを厳格に考える必要があります。

ですので,被相続人が共有不動産の納税通知を代表して受け取っている場合には,全ての固定資産税を債務控除せずに,持分に応じて債務控除する必要があります。

被相続人が共有不動産の納税通知を受け取っていない場合は,代表して納税通知を受け取っている人に固定資産税の額を確認し,持分に応じて債務控除することを忘れないようにする必要があります。

賃貸マンションと相続税対策

賃貸アパートを建てることがなぜ相続税対策となるのかということを説明していきます。

1 現金1億円よりも1億円で購入した土地の方が相続税は安くなる理由

まず,賃貸マンションを建てるには,土地を買う必要があります。

借りて土地を確保することも可能ですが,ここでは,相続税を如何に減らすかということに焦点を合わせていますので,土地を購入することを前提に話を進めます。

相続税の計算は,相続により取得した財産の価額に基づいて行われます。

現金の相続税評価額は,額面そのまま,すなわち,1億円となります。

他方,例えば,1億円で名古屋市の土地を購入した場合,相続税評価額は,いくらとなるのでしょうか。

名古屋市内の土地であれば,基本的に路線価から相続税評価額を算定することが多いです。

そして,土地の相続税評価額は,だいたい取引価額の8割程度といいます。

1億円の土地を購入すれば,課税財産は,8000万円となるのです。(購入してすぐに相続が開始された場合など,例外も設けられています。)

そのため,現金を1億円のまま相続するよりも,取引価格が1億円の土地を相続するほうが,相続税評価額が低くなり,相続税も低くなります。

一般的に人気のある土地は,相続税評価額と取引価額との乖離が激しいといわれています。

2 賃貸マンションを建てると更に土地に課税される相続税が安くなる

1億円の土地を購入し,購入した人が賃貸マンションなど貸家を建てて人に貸している場合,単に土地を更地で所有しているよりもさらに,相続税評価額を下げることができます。

このような土地を貸家建付地といいます。

貸家建付地の場合,建物に他人が住むため,所有者は土地を自由に使用することができなくなります。

そのため,土地は自用地(所有者の自由になる土地)の評価額から,一定の評価減が行われます。

土地が所在する場所にもよりますが,貸家建付地は,更地の相続税評価額から15%程度減額されることが多いです。

このように,賃貸マンションを建てることで,土地の相続税評価額を下げ相続税をより安くすることができます。

3 賃貸マンションを建てること自体が相続税対策となる

建物の相続税評価額は,建築費用や取引価格ではなく,固定資産税評価額が相続税評価額となります。

固定資産税評価額は,通常建築費用や建物の取引価格より低い額とされますので,賃貸マンションを建築するというのも相続税対策になるといえます。

4 注意事項

相続税を少なくすることばかりに目が行き,財産を目減りさせてしまっては,本末転倒です。

1億円の土地を買い,その上に建物を建てるのであれば,どれだけ収益が見込めるのかも重要となってきます。

購入した土地が本当に1億円相当の土地なのか,9000万円で購入できた土地を1億円で購入することになっていないか,信頼できる不動産業者を探す必要があります。

建築費用が割高になっていないか,信頼できる建設業者を探す必要があります。

本当に相続税対策になっているのか,信頼できる税理士を探す必要があります。

賃貸マンションを建てて相続税対策をしたいと考えている方は,一度専門家にご相談されることをおすすめします。

 

生前贈与と名義預金と定期金に関する権利

名古屋では,10月に入ったものの,まだまだ暑い日が続きます。

 

本日は,生前贈与とその注意点について,説明していきます。

相続財産を減らすためには,生前に贈与をすればいいではないかというのは,誰もが考えることですし,相続対策の王道といえます。

しかし,生前贈与をする人が多いため,税務署も生前贈与を要注意項目として見ています。

まずは,贈与したつもりになっていても,贈与の中身が伴っていないという指摘があります。

それが,いわゆる名義預金です。

通帳の名義は他の親族の名義となっていても,実質的に被相続人の財産であるという状況にある預金のことをいいます。

例えば,通帳の名義人である親族がその預金の存在を知らなかったり,自由に使えないといった場合には,名義預金であると税務署が指摘してくる可能性があります。

名義預金として認定されれば,名義預金も相続財産として計上して相続税申告する必要があり,予想していたよりも多くの相続税を払うことになってしまいます。

また,名義預金ではないものの,1000万円を分割して,毎年100万円ずつ贈与していたと,税務署に認定されれば,1000万円について,贈与税を納めなければならないという事態になる可能性もあります。

1000万円について,定期金に関する権利の贈与を受けたとされてしまうのです。

せっかく,相続税対策として,こつこつお金を移動していたのに,知識が不足していたばっかりに,しっかりと対策していれば払わなくてよかった税金を払うことになってしまう。

そのような事例をこれまでたくさん見てきました。

そうならないように,名義預金かどうか等不安を覚える財産をお持ちの方は,一度専門家にご相談することをおすすめします。

相続税についてお悩みの方はこちら

生前贈与と相続税対策

本日は,生前贈与の注意点をいくつか書いていきます。

 

相続税は,相続開始時における相続財産を評価して,相続税評価額を確定した上で算出される税金です。

ということは,相続開始日までに事前に相続人に贈与をしておけば,相続税が少なくなります。

ただし,贈与の額によっては,贈与税が課されます。

一般的に,同じ額であれば,贈与税の税率のほうが相続税の税率よりも高いので注意が必要です。

 

暦年贈与について

贈与税には,毎年(暦年)110万円の基礎控除があるので,110万円以下の贈与であれば,贈与税はかかりませんし,申告も不要です。

ただし,相続開始日から3年以内の相続人に対する贈与は,110万円の基礎控除額以内の贈与であっても相続税の計算の基礎となる財産として加算されます。

このような加算を避けるためには,法定相続人ではない方に贈与するのがおすすめです。

例えば,被相続人予定者の孫,法定相続人の配偶者に贈与するという方法も考えられます。

 

相続時精算課税について

相続時精算課税とは,一定額(2500万円)まで贈与時に贈与税がかからないかわりに,相続の時に贈与時の評価額で相続税の計算の基礎に加算するという制度です。

相続財産の先渡しというイメージで良いかと思います。

そのため,現金で贈与する場合は,同じ額が相続税の計算の基礎に加算されるので,結局,贈与しなかった場合と同じ相続税を払うことになります。

他方,値上がりが見込まれる土地や株式を2500万円分相続時精算課税を利用して贈与しておけば,相続開始時に,その土地や株式が値上がりしていたとしても,相続開始時において,相続税の計算の基礎として2500万円加算するだけですみますので,値上がり分だけ相続税を少なくすることができます。

 

その他にも国は,生前贈与を勧めており,配偶者に対する贈与,住宅資金の贈与,教育資金の贈与,結婚子育て資金の贈与の場合に,一定の要件のもと,贈与税の優遇をしています。

 

名古屋に住んでいる方はお気軽にご相談ください。

独占禁止法違反と私法上の効力

弁護士の内堀です。

ここ最近,名古屋がさらに冷え込んできています。

 

さて,今回は,ある法律行為が独占禁止法に違反した場合,私法上の効力が無効となってしまうのか,という話をしたいと思います。

この問題について,独占禁止法その他法律に明文の規定はありませんので,解釈が必要となってきます。

 

最高裁は,いわゆる両建預金が独占禁止法19条に違反するという事例(岐阜商工信用組合事件,最判昭和52年6月20日)の判決の中で,

独禁法一九条に違反した契約の私法上の効力については、その契約が公序良俗に反するとされるような場合は格別として、上告人のいうように同条が強行法規であるからとの理由で直ちに無効であると解すべきではない。けだし、独禁法は、公正かつ自由な競争経済秩序を維持していくことによって一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とするものであり、同法二〇条は、専門的機関である公正取引委員会をして、取引行為につき同法一九条違反の事実の有無及びその違法性の程度を判定し、その違法状態の具体的かつ妥当な収拾、排除を図るに適した内容の勧告、差止命令を出すなど弾力的な措置をとらしめることによって、同法の目的を達成することを予定しているのであるから、同法条の趣旨に鑑みると、同法一九条に違反する不公正な取引方法による行為の私法上の効力についてこれを直ちに無効とすることは同法の目的に合致するとはいい難いからである。」と判示しています。

この判例からすると,最高裁は,独占禁止法違反行為について,絶対的に無効と考えているわけではなさそうです。

また,東京高判平成9年7月31日の花王化粧品販売事件においては,「独禁法に違反する私法上の行為の効力は,強行法規違反の故に直ちに無効になるとはいえないが,違反行為の目的,その態様,違法性の強弱,その明確性の程度に照らし,当該行為を有効として独禁法の規定する措置に委ねたのでは,その目的が十分に達せられない場合には,公序良俗に違反するものとして民法90条により無効となるものと解される」として,独禁法違反が私法上も無効となる場合の規範を判示しています。

また,上記の判例・裁判例は,法律行為そのものが独禁法違反となるか争われていますが,法律行為の前提となる行為が独禁法違反となる場合,法律行為の私法上の効力にどのような影響を及ぼすのかという問題もあります。

禁治産者について

弁護士の内堀です。

今回は,禁治産者について記事を書きたいと思います。

 

自己破産すると禁治産者になると誤解されている方もおられます。

おそらく,

自己破産

→ペナルティとしてお金を自由に使うことができなさそう

→禁治産者ってお金を自由に使えない人っぽい

→自己破産したら禁治産者になるのでは?という思考の流れかと思います。

 

しかし,これは全くの誤解です。

禁治産者とは,

心神喪失の常況にある者で,一定の利害関係人の請求があり,家庭裁判所が禁治産宣告を言い渡した者(旧民法7条)をいいます。

 

ところが,禁治産者という言葉が偏見を生みかねない表現だということで,現在は,成年被後見人と呼ばれるようになっています。(現行民法7条)

 

このように,自己破産と禁治産者は無関係です。

 

ところで,自己破産すると,どの程度お金を自由に使う権利が制限されるのでしょうか。

それは,次々回の記事で書きたいと思います。

経営コンサルタント養成講座 サムライコンサル塾 第11回

第11回のサムライコンサル塾では,これまでの学んだノウハウが,現実では,どのように活用されているのかを学びます。

売上を上げる際,大切なことは何でしょうか。

客単価,客数ばかりに,目が行きますが,もっと大切なことがあります。

具体的な話を交えて,これまで学んできたことを再学習するのは大変勉強になります。

経営コンサルタント養成講座 サムライコンサル塾 第10回

第10回でのサムライコンサル塾のテーマは,キャッチコピーです。

誰もが,大手企業のようなおしゃれなキャッチコピーを真似したがりますが,大手企業と中小企業では,その目的が異なります。

 

中小企業の場合,キャッチコピーは,潜在的な顧客に商品やサービスを買ってもらうことを目的としていることが多いです。

他方,大手企業は,キャッチコピーによって,企業のイメージをあげようとすることが多いです。

 

では,大手企業のキャッチコピーをみていきます。

「人と自然が響き合う」

「ひとのときを思う」

誰もが一度は聞いたことがあるようなフレーズですが,このキャッチコピーを聞いて,何かを買いたい,サービスを受けたいと思う人はいるでしょうか。

 

中小企業の場合は,キャッチコピーによって,イメージ戦略ではなく,購買意欲を高めたいと思うことが多いので,大手企業の真似をしていてもあまり効果はありません。

 

では,どうすれば中小企業が独自のキャッチコピーを生み出せるのでしょうか。

このあたりのことをサムライコンサル塾では,学びます。

興味のある方は,サムライコンサル塾のホームページを覗いてみて下さい。

経営コンサルタント養成講座 サムライコンサル塾 第9回

第9回でのサムライコンサル塾では,コミュニケーションについて学びます。

 

ビジネスの上でのコミュニケーションとは一体何でしょうか。

部下上司と仲良くすることができれば,コミュニケーションがとれているといえるのでしょうか。

 

普段あまり考えないことですが,よく考えると奥が深い言葉であるということに気が付きます。

気になった方は,サムライコンサル塾を受講してみてはいかがでしょうか。

自転車損害賠償責任等への加入義務化

弁護士の内堀昌樹です。

 

名古屋市では,10月1日から自転車損害賠償保険等のへの加入が義務化されます。

 

自転車でも漕ぎ方によってはかなりのスピードが出ますので,歩行者にとっては危険なものとなりえます。

実際,自転車と歩行者の衝突により,死亡事故がおき,加害者である自転車側に,数千万円の損害賠償責任を負った事例もあります。

自転車を使用する方でまだ保険に加入していない方も,これを機会に自転車事故に備えて,自転車損害賠償責任保険に入っておきましょう。

 

ちなみに,名古屋市内を自転車で通過する人も対象となりますので名古屋市外から名古屋市内に来る方も注意が必要です。

経営コンサルタント養成講座 サムライコンサル塾 第6回

第6回サムライコンサル塾では,ブランディングについて学びます。

ブランドといって,皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?

ロレックス?シャネル?ベンツ?いろいろ思い浮かぶものがあると思います。

これらのブランドには,共通点があります。

 

また,ごく最近できたブランドとして,皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。

皆さんの思い浮かべたブランドには,ある共通点があることが講義の中で,浮き彫りにされていきます。

 

そして,その共通点を踏まえた上で,自分のブランド化ができないかを考えます。

一人ひとりが,自分のブランディングを意識して仕事をすることにより,より成長できるのではないでしょうか。

興味のある方は,サムライコンサル塾のHPを見ることをおすすめします。

http:/サムライコンサル塾.com

民法改正について

先日,民法改正をテーマに内部研修がありました。

民法改正案は平成29年5月26日に可決され,6月2日に公布,3年以内(平成32年)に施行されます。

今回の改正案では,債権の消滅時効の期間や法定利率が変わるなど,社会に大きな影響の出るものが多くありますので,注意が必要です。

経営コンサルタント養成講座 サムライコンサル塾 第5回

弁護士の内堀昌樹です。

 

第5回サムライコンサル塾では,マーチャンダイジングを学びます。

マーチャンダイジングとは,一言でいえば,商品政策,商品化計画を意味します。

簡単に言うと,商品をターゲットに,いくらでどのように提供するかということです。

講義では,消費者が商品を選ぶ時には,8つの基準があることを学びます。

その他にも,価格決定には,いくつかの法則があることも学びます。

興味がある方は,サムライコンサル塾のHPをのぞいてみてはいかがでしょうか。

http:/サムライコンサル塾.com

刑法改正について

刑法の一部を改正する法律案が,平成29年6月16日に可決され,7月13日から施行されています。

主なポイントとしては,性犯罪の厳罰化,非親告罪化などです。

 

強制性交等罪などは,法定刑の下限が引き上げられ,告訴がなくとも起訴できるようになります。

機会があれば,このブログでも,詳しい内容を書いていきたいと思います。

経営コンサルタント養成講座 サムライコンサル塾 第4回

こんにちは,弁護士の内堀です。

 

サムライコンサル塾第4回に参加してきました。

http://サムライコンサル塾.com/

 

このセミナーでは,単に柳生先生の話を聞くだけでなく,自分が学んだことを発表する時間も設けられています。

自分が読んだ本の内容を説明しつつ,実際にセミナー講師になったという設定で,自己紹介,セミナーの紹介をします。

今回,読んだ本は,「私の財産告白」本多静六著です。

本多静六は,明治から昭和にかけて活躍された方で,東大教授でありながら,独自の投資哲学,生活哲学をもって,莫大な財産を築きました。

この本には,本多静六がどのようにして財産を築いていったのか,そして単なる蓄財方法だけでなく,どう財産を使うべきか,さらには,どう生きるべきかということが書かれています。

ご興味のある方は,読んでみてはいかがでしょうか。

経営コンサルタント養成講座 サムライコンサル塾 第3回

こんにちは,弁護士の内堀昌樹です。

 

サムライコンサル塾第3回を受講してきました。

 

第3回講義では,成功に至るためには,まず,現状を正確に把握しなければならないこと,現状を正確に把握するために必要な視点を学ぶことができます。

講義の後半では,マーケティングの基本的な考え方,そして,マーケティングで重要となる商品・サービスの根本的な要素である価値とは一体どのようなものであるかということが学べます。

 

興味のある方は,サムライコンサル塾のホームページをご覧になってはいかがでしょうか。

http://サムライコンサル塾.com/