賃貸アパートを建てることがなぜ相続税対策となるのかということを説明していきます。
1 現金1億円よりも1億円で購入した土地の方が相続税は安くなる理由
まず,賃貸マンションを建てるには,土地を買う必要があります。
借りて土地を確保することも可能ですが,ここでは,相続税を如何に減らすかということに焦点を合わせていますので,土地を購入することを前提に話を進めます。
相続税の計算は,相続により取得した財産の価額に基づいて行われます。
現金の相続税評価額は,額面そのまま,すなわち,1億円となります。
他方,例えば,1億円で名古屋市の土地を購入した場合,相続税評価額は,いくらとなるのでしょうか。
名古屋市内の土地であれば,基本的に路線価から相続税評価額を算定することが多いです。
そして,土地の相続税評価額は,だいたい取引価額の8割程度といいます。
1億円の土地を購入すれば,課税財産は,8000万円となるのです。(購入してすぐに相続が開始された場合など,例外も設けられています。)
そのため,現金を1億円のまま相続するよりも,取引価格が1億円の土地を相続するほうが,相続税評価額が低くなり,相続税も低くなります。
一般的に人気のある土地は,相続税評価額と取引価額との乖離が激しいといわれています。
2 賃貸マンションを建てると更に土地に課税される相続税が安くなる
1億円の土地を購入し,購入した人が賃貸マンションなど貸家を建てて人に貸している場合,単に土地を更地で所有しているよりもさらに,相続税評価額を下げることができます。
このような土地を貸家建付地といいます。
貸家建付地の場合,建物に他人が住むため,所有者は土地を自由に使用することができなくなります。
そのため,土地は自用地(所有者の自由になる土地)の評価額から,一定の評価減が行われます。
土地が所在する場所にもよりますが,貸家建付地は,更地の相続税評価額から15%程度減額されることが多いです。
このように,賃貸マンションを建てることで,土地の相続税評価額を下げ相続税をより安くすることができます。
3 賃貸マンションを建てること自体が相続税対策となる
建物の相続税評価額は,建築費用や取引価格ではなく,固定資産税評価額が相続税評価額となります。
固定資産税評価額は,通常建築費用や建物の取引価格より低い額とされますので,賃貸マンションを建築するというのも相続税対策になるといえます。
4 注意事項
相続税を少なくすることばかりに目が行き,財産を目減りさせてしまっては,本末転倒です。
1億円の土地を買い,その上に建物を建てるのであれば,どれだけ収益が見込めるのかも重要となってきます。
購入した土地が本当に1億円相当の土地なのか,9000万円で購入できた土地を1億円で購入することになっていないか,信頼できる不動産業者を探す必要があります。
建築費用が割高になっていないか,信頼できる建設業者を探す必要があります。
本当に相続税対策になっているのか,信頼できる税理士を探す必要があります。
賃貸マンションを建てて相続税対策をしたいと考えている方は,一度専門家にご相談されることをおすすめします。