民法改正と遺留分について

名古屋では,台風が過ぎ去ったものの,夏の様な気候が戻ってきています。

弁護士の内堀です。

 

今回は,民法改正の一部について書いてみたいと思います。

 以前,不動産と遺留分について,記事を書きました。

その時は,

「相続財産が不動産しかない場合,遺留分権利者は原則として,不動産の持分について移転登記を請求することしかできないのですが,受遺者が,金銭で賠償したいと反論した場合にのみ,遺留分を現金でもらうことができます。」と書きました。

 

このような現行法では,遺留分減殺請求権が行使されることで,遺贈の目的物の土地や非上場株式が共有状態になり,権利関係が複雑になってしまっていました。

 また,遺留分権利者には,現物を取得するか,金銭を取得するかの選択肢が与えられていない点も問題視されていました。

 

このような状況のもと,民法の改正がされ,以下のような条文が創設されました。

改正民法第1046条1項

 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

 

この条文により,改正民法施行後は

遺留分権利者は,遺留分侵害額に相当する金銭の支払いのみを請求することにできるようになりました。

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