名古屋駅周辺は,2027年にリニア開業が予定されていることもあり,地価が上昇傾向にあり,また,20階以上のタワーマンションも建設が続いています。
皆さんのなかには,不動産を購入することで,相続税を減らすことができると聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その仕組みを説明していきたいと思います。
相続財産として,現金1億円があったとします。
この場合,現金1億円は,当たり前ですが,1億円として評価され,1億円が相続税評価額となり,相続税が課税されます。
これに対し,1億円で,市場価格1億円の土地を購入したとします。
土地の相続税評価額は,市場価格と異なります。
土地の相続税評価額は,路線価方式又は倍率方式のどちらかで算出され,一般的に売買価格の8割程度の評価になるといわれています。
とすれば,市場価格1億円の土地は,8000万円程度の評価額となり相続税が課税されます。
このように,2000万円分相続財産を減少させ,相続税を節税することができます。
上記の例では,相続税評価額が市場価格の8割と想定して計算しておりますが,この割合は平均的な例を出しただけで,実際の割合は,個々の土地によって違います。
そして,取引価格に比べ相続税評価額の低い不動産を購入できれば,より節税効果が高まります。
取引価格に比べ相続税評価額の低い不動産として,よく話題になるのがタワーマンションです。
マンションを購入した場合,専有部分だけでなく,マンションの敷地も専有面積按分で所有権を得ることになります。
タワーマンションの場合,一等地の敷地に建っていることが多いので,その分敷地の評価額が高くなりますが,戸数が多く按分した土地の持ち分は少なくなることもあり,相続税評価額は,市場価格に比較して8割以下となることも多いです。
また,タワーマンションは,最上階の部屋と1階の部屋では,かなり売買価格が異なるのに対し,相続税評価額の計算方法は一緒となります。
例えば,被相続人が,タワーマンションの1階部分の部屋を1億円で購入した場合,不動産の相続税評価額は7000万円(市場価格の8割という一般的な割合よりも低い額を想定しています。)として,3000万円分相続財産を低く評価できるのに対し,最上階の部屋を1億5千万円で購入した場合,相続税評価額は1階と同じく7000万円となるので,8000万円分相続財産を低く評価できることになります。
ただし,2017年以降に建設されたタワーマンションの場合,タワーマンションの上層部分の固定資産税の額を高く計算すると税制が改正されたように,相続税評価額の算出方法が今後変化する可能性もありますし,相続開始前直前にタワーマンションを購入し,相続人が比較的早期に売却するという,まさに典型的なタワーマンション節税が否認された事例もありますので,注意が必要です。
安易にタワーマンション節税という言葉に踊らされず,相続税のシミュレーションと各人にふさわしい生前対策をしっかりと検討すべきといえます。