固定資産税と相続(連帯納付義務) 後半

今回も,7月と同じく固定資産税について書いていきます

平成30年4月に名古屋の土地の所有者Aが亡くなり,相続人Bと相続人Cがいて,平成31年1月1日時点でも,相続人BC間で分割がされず共有状態であることが前提です。

 

平成31年1月1日時点での土地の所有者は,共有者であるBとCですので,BとCが納税義務者となります。Aの納税義務を承継したわけではありません。

 

地方税法第10条の2 共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負う。

 

この規定を根拠に連帯納税義務があるとされ,自治体は,Bさん又はCさん一人に対して,固定資産税の納付を求めることができ,2分の1は別の相続人が所有しているから半分以上は固定資産税を納付しない!と拒否することはできません。

 

では,前回の記事の内容に戻りますが,

Aが亡くなった年の固定資産税,また,それ以前に未納の固定資産税があった場合にも連帯納税義務があるのでしょうか。

この点について,地方税法からすると,連帯納付義務はなく,相続人は相続分に応じた按分額の責任を負えば足りると考えます(私見)。

 

ただし,実務上,未納額等の固定資産税の通知書で,相続人ごとに按分したものは見たことがありません。

相続人の内の誰か一人に,全額分の通知書が来ることがほとんどです。

ただし,自治体のHPの記載を調べてみると,相続人には,連帯納付義務がありますという記載はあるのですが,根拠としては,地方税法第10条の2(共有者に連帯納付義務があるという規定)をあげているものがほとんどでした。

おそらく実務上,被相続人が亡くなった年の固定資産税及び未納の固定資産税について,一人の相続人が自分の相続分の割合以上の支払い,後に他の相続人と清算をすることがほとんどで,自治体に対し,自分の相続分の割合以上の支払いを拒否する人はあまりいないと思われます。

 

地方税法を熟知している人は少ないと思いますが,そういう場合は,条文を一つ一つ丁寧に調査確認する必要があります。http://www.lawyers-kokoro.com/