3月に入りましたが,名古屋はまだまだ寒いです。
家なき子特例は,小規模宅地等の特例の一類型です。
外国に家を所有している方から,家なき子特例の適用を受けることができるのか,質問を受けることがあります。
そもそも,小規模宅地の特例は,土地の相続税評価額を最大8割減額できる制度で,適用できるか否かで相続税額が大きく変わります。
小規模宅地等の特例で,被相続人の住んでいた宅地の場合,配偶者や同居の親族が相続すると,相続税を抑えることができるということを聞いた方も多いと思いますし,適用される件数が多いです。
ただ,配偶者や同居の親族の方でなくとも,小規模宅地等の特例の適用が受けれる場合があります。
そして,その場合,要件のうち重要なのが,相続開始前3年以内に持ち家等に住んでいなかったという要件です。
家を持っていないことが要件になっているので,家なき子特例と呼ばれています。
厳密には,「当該親族、当該親族の配偶者、当該親族の三親等内の親族又は当該親族と特別の関係がある法人として政令で定める法人が所有する家屋(相続開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く。)」(租税特別措置法69条の4第3項第2号ロ(1))に住んでいなかったという要件です。
これは,単純に持ち家に住んでいなかったことを要件にすれば,家屋の所有者を配偶者名義にするなどして,容易に適用を受けることができるため,このように要件を厳しくなっています。
では,外国に家を所有して住んでいる場合は,家なき子特例の適用をうけることができるのでしょうか。
これは,条文上明らかです。
条文には,「相続開始前三年以内に相続税法の施行地内にある当該親族~が所有する家屋」と規定されていますので,「相続税法の施行地内」すなわち,日本国内の家屋の場合,その他の要件を満たせば,家なき子特例の適用も可能です。
このように,小規模宅地等の特例の適用関係は,複雑なこともありますので,ご心配な方は,専門家にご相談されることをおすすめします。