名古屋の暑さがどんどん増していきます。秋が待ち遠しいです。
本日は,基礎控除額について,間違いやすい点について,まとめていこうと思います。
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相続税の基礎控除額は,3000万円+600万円×法定相続人の数,で計算することができます。
しかし,相続税法上の法定相続人の数と民法上の相続人の数は異なるため,しばしば間違う人がいます。
基礎控除額以下であれば,そもそも相続税の申告の義務はありません。
そのため,相続税の計算において,最も基本的な基準であり,注意深く考える必要があります。
2 本来,相続人であるはずの者が既に亡くなっている場合
例えば,被相続人に子供が1人いたにも関わらず,被相続人の相続開始時点において,その子供が亡くなっており,被相続人からみて孫が3人いたとします。
この場合,法定相続人の数は,3人ということになりますので,基礎控除額は,3000万円+600万円×3=4800万円ということになります。
3 養子が何人もいる場合
養子も一親等の血族であり,民法上の相続人にあたります。例え,養子が何人いても,全員が民法上の相続人です。
しかし,民法上の相続人の数をそのまま基礎控除額の計算の基礎とすると,容易に相続税の課税の潜脱ができてしまいます。
そのため,相続税法では,基礎控除額の計算とできる養子の数の制限を設けています。
具体的には,実子がいる場合には養子の数は1人まで,実子がいない場合には養子の数は2人まで,基礎控除額の計算の基礎とすることができます。
4 相続放棄した相続人がいる場合の基礎控除額
相続放棄した相続人がいる場合は,その相続放棄がなかったものとして,基礎控除額の計算をすることになります。
例えば,被相続人の相続人が子供が1人のみ,また被相続人の兄弟が5人いるとします。
相続放棄前であれば,相続人が被相続人の子供1人であるところ,その子供が相続放棄をすれば,相続人は被相続人の兄弟5人となります。
仮に,このような場合に,基礎控除額が,3600万円(3000万円+600万円)から6000万円(3000万円+600万円×5)に増えてしまえば,容易に相続税が変わってしまうことから,相続税の計算においては,相続放棄はなかったものとして計算するという規定が相続税法にはあるのです。
このように,民法上の相続人の人数が,相続税の基礎控除額の計算の基礎とならない場合もあることに注意が必要です。