本日は、離婚の際の課税関係について説明していきます。
なお、令和3年の離婚件数は、3,736組で、婚姻件数は11,798組で、3組に1人は離婚するといわれているので、課税関係に興味がある方も多いと思われます。
離婚により夫婦の一方が片方に財産を渡すことを財産分与といいます。
結婚中に形成した財産は、夫婦が協力した結果の賜物ですが、通常、名義としては、稼ぎ頭の夫名義の財産とされます。
しかし、夫名義の財産であってもその実質は妻の一定の協力があったからこそ作り上げられたものなので、
離婚の際に、清算や離婚後の妻の生活保障のための財産分与請求権という権利の行使の結果、お金の移動があります。
贈与とは、無償で財産を与えることをいうので、上記のように、財産分与請求権の行使という理由がある以上、夫婦が離婚の際に、財産の移動があったとしても、原則として通常、贈与税がかかることはありません。
ただし、例外的に、贈与税や譲渡所得税の課税対象となることがあります。
例えば、夫が会社員、妻が専業主婦であるという前提で、妻が夫の財産額の99%の財産をもらったように、分与された財産の額が夫婦の協力によって得た財産の額より多過ぎる場合には、多過ぎる部分に贈与税がかかります。
また、離婚の際の財産分与が贈与税等を免れるために行われたと認定されれば、財産分与額にすべてに贈与税がかかります。
また、不動産を分与(所有権移転)した場合、その時の不動産の時価で譲渡が行われたとみなされるため、分与した側が分与した財産を譲渡したことになり、確定申告時期に譲渡所得を申告しなければなりません。
分与した不動産が居住用である場合は、居住用財産の3000万円の特別控除を受けることができる可能性があります
ただし、夫婦間の譲渡では、上記の特例の適用を受けることができないので、必ず離婚してから財産分与の合意をしましょう。
なお、長期譲渡所得と短期譲渡所得は税率の違いがかなりあります。
将来、分与を受けた土地や建物を売った場合には、財産分与を受けた日を基に、長期譲渡になるか短期譲渡になるかを判定することになりますので注意が必要です。
詳しくは、弁護士、税理士にご相談ください。