相続税と民法

弁護士は法律のことは何でも知っている、もちろん税法のこともよく知っていると思われるかたもいらっしゃいますが、実際には、相続税法に詳しいと言える税理士はあまり多くありません。

弁護士は民法に詳しくても相続税法に詳しくない場合があるというのは、下記のような相違点があることも原因の一つです。

1 相続放棄について

 民法上、相続放棄をした方は最初から相続人ではないことになり協議に参加することもありません。他方、相続税法上、相続税の計算をする際には、相続放棄をしても法定相続人の数にいれて計算することになります。

2 養子について

 民法上、何人でも養子縁組をすることができます。他方、相続税法上、相続税を計算をする際には、法定相続人の数に入れる養子の人数に制限があります。具体的には、実子がいる場合は一人まで、実子がいない場合は二人まで法定相続人の数を計算にいれることができます。

3 生命保険金、退職金について

 民法上、生命保険金や退職金は、原則として受取人固有の財産となり、分割協議を行うを必要すらありません。他方、相続税法上、相続税の課税対象となります。ただ、生命保険金や退職金は非課税枠があるため相続税法上有利な扱いをうけます。

4 評価時点について

 民法上、遺産分割をする際には遺産分割時の時価で分割方法を決めることになります。他方、相続税法上、相続税の計算は相続開始時店の評価で行うことになります。